火に強く、断熱性に優れた木造

木材*は体積の半分以上が『空隙』(くうげき)という隙間でできており、そこに多くの水分を含んでいます。そのため熱が伝わりにくく、また酸素が供給される表面からゆっくりと燃えて炭化するので、芯まで火が届きにくくなります。急激に強度が落ちることがないので、火災時でも避難する時間を稼ぐことができます。
一方、鉄は断面をどれだけ大きくしても、熱を加えると急激に強度が低下し変形しやすくなるので、重い屋根を支える柱や梁などが曲がってしまい、建物が倒壊してしまうことがあります。

さらに木材は鉄やコンクリートに比べて断熱性が高いという特性を持っています。
木材の熱伝導率を1とすると、コンクリートは10以上、鋼材は400以上となり、木材が高い断熱性能を持っていることが分かります。

*木材 … 構造材として用いられる針葉樹のこと。


強くて軽い「木」の特性

単位重量*あたりの引っ張り強度を比較すると、木は鉄と約4倍、コンクリートとは約225倍もの差があります。
また、圧縮強度では、鉄の約2倍、コンクリートで約9.5倍の差です。
一般的に地震の力は建物の重さに比例して大きくなるので、同じ大きさの建物であれば鉄やコンクリートで造られたものよりも、軽い木で造られた建物の方が影響が小さくて済むのです。

*単位重量 … 物質にかかる単位体積当たりの重さのこと


日本の気候風土に適している木造建築

木は湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥すると湿気を吐き出すという調湿機能を持っているので、日本の気候風土に最も適した建築材料と言えます。私たちが感じる「暑さ」や「寒さ」は温度だけではありません。湿度も体感温度に影響しています。
その湿度を適度に調節する木材の調湿性も、日本の高温多湿の中で快適に暮らすためには欠かせないものです。